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(驚きだな……)
(……覚醒したのか?)
翌朝──
上空はるか高みに二つの人影が見えた。
と言ってもその存在に気付いた者は、大きな翼を広げて滑空している鷲くらいなものであったが。
(一時的なものだろうが……)
(導師様に報告しなければ)
黒いフードつきマントを頭から被って風にはためいている姿はまるでカラスのように見える。
二人はボソボソと会話するとフイッと姿をかき消した。
明け方まで土砂降りだった雨はカラッと上がり、清々しい青空には雲一つない。
神々しいほどの景色には、しかし黒い染みのように焼け跡が無惨に広がっていた。
「そろそろ様子を見に行こう。どこかに生き残りが居るかも知れん」
そう言って辛うじて半分焼け残っていた小屋らしい建物から出て来たのはアレンだった。
素晴らしい一日の幕開けに似合わず、彼の表情には苦渋の色が濃ゆい。
「まだ奴らもそこらをうろついてるかもしれねぇ、気をつけねぇとな」
アレンに続いて現れたのは、左頬に大きな傷を作ったカイトだった。
残りの二人も続いて出て来る。彼らは昨夜の落雷の後に降り出した豪雨から難を逃れ、この小屋で夜を明かしたのだった。
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