憂囚のマルリオン

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「アレン君とカイト君は今、旅団預かりとしてオルブライトの元で騎士修行中ですよ。と言っても騎士団再編の予定だから今は作法の指導くらいで、ほとんど顔合わせみたいなものですけどね。今は仮宿舎に居る筈です」   クラトはそれから「用事があるのでこれで」と言って退出した。   ユリアンはまた一人部屋にポツンと取り残された。   テーブルに用意されている食事の中から果物をひとつ摘んで口に放り込むと、部屋の隅に置いてある長椅子に軽く腰掛けてみんなが今どうしているのかなどとクラトから聞いた事を元に想像してみた。   それは間違いなく今の自分より楽しそうに思える。   思わず漏れる溜め息にガックリとうなだれると、カツンという音が聞こえた。     (……?)   何となく聞こえた気がする窓の方へ目を向けると、コツコツと何かがぶつかるような音と共に、なんと裸足の足が窓の上方にぶら下がっているではないか!   ビックリして様子を見守ると、ロープのような物がユラユラと揺れるのに併せて徐々に足が降りてくる。   「あっ!!」   小さく声が叫んだと思ったらドサッとバルコニーへ人が降ってきた。   ユリアンは急いでバルコニーの窓を開けた。
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