流浪の王女

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「ところで聞きたかったんだけど、王女ともあろう方が何故僕の財布なんか盗もうとしたの?ずっと気になってたんだ」   ユリアンが尋ねると、シュアンは更に顔を朱くして俯いた。   ユリアンが不思議そうにシュアンの顔を覗き込んだその時だった。   ぐぅ~~~~!!   と大きな音が響いた。     ユリアンは一瞬、ポカンと口を開いて不思議な表情を浮かべたが、次の瞬間爆笑してしまった。   「あっはははははは!!そういう事か!!でもそれじゃあサイールさん達を叱れないじゃないの!?」   なおも笑い続けるユリアンをシュアンは睨み付けると、真っ赤な顔で怒鳴った。   「うるさいっ!!笑うな!!2日も何も食べてないんだ、ちょっと魔が差す事ぐらいあるだろっ!?」   怒りの余り言葉遣いも幼くなっている。   ユリアンは苦しそうにヒーヒー言いながら、シュアンに答えた。   「王女様も可愛いとこあるんだね。話し方はそっちの方が年相応でいいと思うよ」   「こぉんの、無礼者!!!!」   シュアンは怒鳴りながら思いっきりユリアンの頭をひっぱたいた。   あまりの大声に馬もびっくりしてブルルッと鳴いている。  叩かれてもユリアンは笑いながらシュアンを促した。   「そろそろ準備も終わるみたいだ、テントに行って食事にしようよ」   王女はそう言って手を引くユリアンに、抵抗しようか一瞬ためらったが、素直に引かれながら小さくボソッと囁いた。   「この事、サイール達には言うなよ」   ユリアンは満面の笑みで答えた。
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