4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところで聞きたかったんだけど、王女ともあろう方が何故僕の財布なんか盗もうとしたの?ずっと気になってたんだ」
ユリアンが尋ねると、シュアンは更に顔を朱くして俯いた。
ユリアンが不思議そうにシュアンの顔を覗き込んだその時だった。
ぐぅ~~~~!!
と大きな音が響いた。
ユリアンは一瞬、ポカンと口を開いて不思議な表情を浮かべたが、次の瞬間爆笑してしまった。
「あっはははははは!!そういう事か!!でもそれじゃあサイールさん達を叱れないじゃないの!?」
なおも笑い続けるユリアンをシュアンは睨み付けると、真っ赤な顔で怒鳴った。
「うるさいっ!!笑うな!!2日も何も食べてないんだ、ちょっと魔が差す事ぐらいあるだろっ!?」
怒りの余り言葉遣いも幼くなっている。
ユリアンは苦しそうにヒーヒー言いながら、シュアンに答えた。
「王女様も可愛いとこあるんだね。話し方はそっちの方が年相応でいいと思うよ」
「こぉんの、無礼者!!!!」
シュアンは怒鳴りながら思いっきりユリアンの頭をひっぱたいた。
あまりの大声に馬もびっくりしてブルルッと鳴いている。
叩かれてもユリアンは笑いながらシュアンを促した。
「そろそろ準備も終わるみたいだ、テントに行って食事にしようよ」
王女はそう言って手を引くユリアンに、抵抗しようか一瞬ためらったが、素直に引かれながら小さくボソッと囁いた。
「この事、サイール達には言うなよ」
ユリアンは満面の笑みで答えた。
最初のコメントを投稿しよう!