流浪の王女

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クラトの言葉にシュアンが立ち上がった。   その顔には決意の色が浮かび、己の考えの正しさを改めて確認したように一つ大きく頷くと、きっぱりと宣言した。   「うむ、これではっきりしたな。あ奴らはリトゥルヴァニア全土の侵略を目的として画策しておるのじゃろう。我らは一致団結してこの難局に当たらねばならぬ。善は急げじゃ、大公の元へ案内せい!」   黙って話を聞いていたアレンが飛び上がった。   「あぁ!?案内って今からかよ?今なん時だと思ってんだ。こっちにゃ怪我人も居るんだぜ!明日の朝までは休まないと!」   いきり立つアレンを横目に見てフンと鼻をならすと、シュアンは蔑んだような目で答えた。   「なんじゃ?国の危機に際してファリア人は随分と呑気なんだな。怪我人ならこちらの方が多数居るが、文句を言う奴は一人も居らぬぞ?大体貴様は何者じゃ?田舎臭い顔をして礼儀を知らん奴だな。まず名を名乗ったらどうじゃ」   そこまで一気に言うと、侮蔑の笑みをこれ見よがしに浮かべる。   アレンは耳まで真っ赤になって怒鳴り返そうとしたが、クラトの緊迫した声に我に返った。   「しっ!二人とも静かに!蹄の音が聞こえる……それも多数だ。松明の灯りが列を作って…こっちに来る!?」
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