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はめられた、と分かった時には、引くに引けない状況に陥っていた。
「……っ!!」
綾は両手で拳銃を握りしめ、背中をコンクリートの柱に預けたまま、静かに奥歯を噛みしめた。
……おかしいとは、思ってたんだよねぇ
背後の様子をうかがうためにチラリと顔をのぞかせれば、間髪入れずに銃弾の嵐が降り注ぐ。
慌てて頭を引っ込めるが、その代わりに着々と柱は削られていく。
……たっちゃんと別々で召集令状が出されるなんて、ありえないとは思ってたんだよ、もう……
そう思ったならなぜ俺に確認しないんだ!! と脳裏に浮かんだ相方が小言を呈してきた。
……まったく、脳内でもうるさいんだからっ!!
脳内の龍樹(たつき)にあっかんべー! と舌を出してから、綾は銃撃の隙間に銃口を差し込む。
1発の発射に対し、返ってくるのは銃弾の嵐。
理不尽ったらありゃしない。
だがこうして無意味ながらも抵抗を示さなければ、相手はすぐにこの場所へ流れ込んでくるだろう。
そうなれば綾の人生はここでジ・エンドだ。
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