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……まぁさ、これはただ、私のストックが尽きるのを待ってるだけだってことも、分かってはいるんだけどね
「……私がなぶり殺しにされたら」
敵は、待っているのだ。
綾の残弾が尽きるのを。
「たっちゃんは、どう思うんだろうね?」
綾を囲っているのは、反政府を掲げたテロリストだ。
だが実際にそのテロリストを煽っているのは、綾が所属する『リコリス』……掃除人という肩書を持った殺し屋を抱え込む国家人口管理局の上役だということは理解している。
そうでなければこれだけの勢力を相手に綾だけが現場に送り込まれるはずがない。
相方である龍樹がセットであるならば話は別だが。
「今に始まった話じゃないんだけどさ。
たっちゃんを精神的に潰すために私に危害を加えようっていうのはさ」
綾の幼馴染にして相方である遠宮(とおみや)龍樹は、眉目秀麗にして文武両道という他に何か秘密を持っているのだろうと、綾はうっすらと察している。
そうでなければ上層部がここまで龍樹を潰そうと躍起になるはずがない。
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