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「みんな買い被りすぎだよね。
……私一人がどうなったって、遠宮龍樹は変わりようがないっていうのに」
自分がお荷物なのだと、自覚している。
自分が完全無欠である遠宮龍樹の唯一の弱点と化しているのだと、誰よりも綾自身が理解している。
だからこそ、なおのこと、こんな所で死んでやるのは癪だとも思う。
手元にあるのは拳銃1つ。
予備のマガジンが2本。
愛用の薙刀は邪魔になると思って置いてきてしまった。
対して相手は少なく見積もっても15人。
全員が全員、最新鋭の武器でガッチリ武装している。
「私だって、少しは使えるんだからねっ!!」
綾は思い切って柱の陰から飛び出した。
銃弾の嵐が尾を引くように付いてくる中、頭に叩き込んできた図面から割り出して目星をつけておいた場所へ銃口を向ける。
1発だけ弾を放つのと隣の柱の陰に滑り込むのはほぼ同時。
そのままうずくまり両耳をふさぐと、炎が衝撃を伴って柱のすぐ横を駆け抜けていった。
それを体感だけで確かめて、再び走りだす。
転がされていたガスボンベとむき出しの配線はまだ生きていたらしい。
それが分かれば、まだ使える手がいくつかある。
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