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自身の弱みになると分かっていながら、龍樹は綾に掃除人なる道を示した。
足を引っ張られると分かっていながら、綾の相方としてともに世間の闇を渡り歩いてきた。
その全ては、綾を生かすため。
だから綾はどんな時でも生きることを諦めない。
自身を損なう選択をしない。
たとえそれが世間に後ろ指を差される、最低な選択肢だとしても。
そしてできれば、少しでも相方の足を引っ張らない存在でありたいとも、思っている。
相手の足音が消えた。
次に響くのは足音か、銃声か。
綾は覚悟を決めると、左足に力を込めて立ち上がった。
両手の中にある拳銃の感触を確かめる。
そして一気に振り返り、トリガーにかけた指に力を込める。
だがその指が動かされることはなかった。
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