55人が本棚に入れています
本棚に追加
いよいよ高校生活が始まるのか。と少し気分が良かった4月1日。スムーズ終えた式典の後に、顔合わせをかねた進級・入園祝賀パーティーで、俺はあいつに出会った。
初対面でかけられた言葉は、初めましてでも自己紹介でもなく、かなり上から目線の告白だった。
「……は?」
「俺様の恋人にしてやらなくもない。と言っているんだ」
あまりに突然のことに固まる俺に、聞こえていなかったのか、そうか。と都合のいい解釈よろしく、ブツブツ呟きつつも、先程より大きな声で話しかけてきた。
答えはyesだろ?と言わんばかりのどや顔で迫ってきたその男はまさに変質者。
「どうし………ま…さかっ、照れているのか?」
黙っている俺に、その男はニヤニヤしながら執拗に「照れているのか?なぁ、照れているんだろう?」と迫ってきた時は本気で死ねばいいと思った。
「そもそもあんた誰だよ」
俺としては当然の疑問だったのだが、その男は口をこれでもかと開き、いかにも驚いてます。という表情で俺を凝視しいた。
10秒ぐらいだったと思う。俺様は驚愕しているぞ。な顔で見つめられたかと思うと、急にハッと意識が戻り、生まれたて の子鹿のようにプルプルと震えながら「…ぁ……ぁ…アッァ」と奇声を漏らしながらよたよたと近付いてくるその男に、俺は本気で恐怖した。
最初のコメントを投稿しよう!