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さっきは空腹で分からなかったが、ここはなかなか年季の入った屋敷のようだ。
ダイニングルームなんて端の方に蜘蛛の巣が掛かっている。
でも広い。
幼い頃に読んだ絵本の幽霊屋敷の挿し絵がこんなかんじだった。
「あの、部屋に戻っても?」
また三人が顔を見合わせる。
「むろんよござんす。」
「ところでわたくしどもの名前だけでもお教えしておきましょう。」
私を迎えにきた仮面が口を開いた。
「左から、怒り顔、笑い顔、泣き顔です。お分かりかな?」
実に簡素で分かりやすい。
要するに仮面の通りの名前というわけだ。
「では、お休みなさいませ。」
言うが早いかポイっと追い出された。
待って、引き留めておいてそれはない。
しかもやたら広いから道が全くわからない。
なんて奴らだ。
礼儀というものを知らなすぎる。
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