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「まあ、そう焦ることもないでわないか。」
踵を返しノブに手を伸ばそうとした私の前にドラキュラが立ちはだかった。
どっから来たよ
振り向いて、ソファとここの距離を見比べてみるがどう軽く見積もっても一メートル以上は離れてる。
こんな、寝癖がついたボサボサの髪の奴が、優雅にガウンなんぞ着てるけど今起きました感半端ない奴がこんなこと出来るのか!?
「1杯いかがかな?」
少し屈むようにして私の瞳を覗き込む。
彼の燃えるように赤い瞳を間近に見た瞬間何かが頭の中で閃光のように走って消えた。
何かの魔法か、立っているのが辛い。
段々身体が痺れてきた。
ふらついて壁に手をついた私を面白そうに見つめ、おもむろに抱き上げられた。
「ちょ、ちょ、何してるんですか!」
「ふふん、夜は長いんだ。ゆっくり語り合おうではないか。」
真っ平ごめんだ。
逃れようと身をよじるが身体が言うことを聞かない。
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