魔物ご一行様

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とにもかくにも入った者勝ちだ。 泣き顔の黒っぽいマントの影に隠れて一緒に滑り込む。 中には怒り顔が仏頂面で立ち尽くしている。 いや、仏頂面は元からか。 ワゴンの前の泣き顔がなにやら凝った料理を出した。 直火で焼く肉から美味しそうな匂いが漂う。 ところでそれは何の肉!? 怒り顔がそれを配っていく。 私はワゴンカバーの下に潜り来客を観察した。 中央に吸血鬼 その右に顔がでこぼこした縫い後だらけの男。こめかみに何か刺さってる。 そのまた右には見ているだけで嫌悪を覚えるような小男が座っている。 彼の顔は悪夢に出てくるレベルで気持ち悪い。 そして吸血鬼の左側になんだかとても美しい女性が真っ赤なドレスを着ている。 彼女の隣には毛むくじゃらの犬....というかなんというか....。 要するにこれは魔物たちの会合というわけだ。 では、あの美しい人は誰だろう。 栗色の髪を上品にまとめてるが、どこか妖艶だ。
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