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「まだありますぞ。吸血鬼殿は村一番の美女をご所望だ。」
「ケッ、どうせ食っちまうくせに。」
「その辺の醜女でも差し出しておけよ。」
ヤンヤヤンヤと騒ぎ出す。
「そうだ。私に良い考えが。」
博士がニヤリと笑い立ち上がる。
「おや何かな?」
「あの娘に致しましょう。」
「あの娘とな。」
「どの娘?」
「あのみなしごですよ。」
「エミリアか。」
「確かにアイツは美しい。」
「なにしろ母親が村一番の商売女だったからな。」
「しかし母親はあの娘をことのほか可愛がっていたような。」
「守ってくれる母親は一昨日死にましたよ。吸血鬼に襲われて。」
博士がまたニヤリと笑った。
「なるほど。」
「お主も悪よのう」
「ではこれで決まったと。」
「生け贄はあの娘で。」
「うぬ」
「うぬ」
男達はそれで合点した。
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