平凡は素晴らしい

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この世の中には 【主人公】と【脇役】の二種類がある。 主人公は言葉の通り物語の主役を務めるもの。 故に何をしても許される最強の存在。 脇役はそんな主人公を引き立てたり、ごく稀に主人公から主役をもぎ取り次の主役になる場合もある。まぁ、大体がモブになるが。 しかし、そんな事は廊下で校長に踏みつけられ「……あひっ……も、もっとぉ……ぁあ!」と喘いでいる担任の性癖程どうでもいい。 俺がもっとも欲している称号は 主人公でも脇役でも無い。 どちらにも属さず 物語に入り脇役になるも、入らずに野外に居ることも出来る最高の称号…… それが【平凡】だ!! そう、俺は平凡という称号が何よりも好きだ。 平凡は素晴らしい。 変わり映えの無い、言うならば無の象徴。 この世の 優劣も間に平凡があるから成り立つのだ。 平凡があるから世界の均衡が保たれ 平凡がいるから全ての物が光にも陰にもなり 平凡がいるから人間は自分を客観的に見ることができ 何が言いたいかと言うと平凡は素晴らしい。 先程聞いた? それは良かったな。 平凡と言う単語を既に9回も聞けているのだ。 これ程有意義な時間は無いだろ? いやいや、礼には及ばない。 と言うより礼を言うくらいなら俺に至高の言葉を贈ってくれ。 『お前は平凡だ』 と。 あぁ、この言葉を与えられたと想像しただけでゾクゾクする。 3回は抜けるな。 いや……4回か。 まぁ、俺の魔法の箒の話は置いておいて…… 何回でも俺は言おう。 平凡は素晴らしいと……っ! しかし 俺には完璧な平凡に未だ慣れない理由がある。 それは俺の目の前でハーレムを繰り広げている4人の主役のせいだ。 とても腹正しいが紹介をしてやろう。
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