現在編

2/20
前へ
/20ページ
次へ
「今度ジュリさんの歓迎会があるんで良かったら間中さんも一緒に行きませんか?」 と新谷さんが言ってきたのである。珍しいこともあるものだなと思うが、ほんとに彼女は良い人なのだろう。 「それではーーーーーー、ジュリさんの歓迎会をしたいと思います!!!!!!」と元気な声で新谷さんが言いながら、店長を踏まえたバイトの人たちがカラオケボックスで歌いながら話していた。ほかの人たちは仲良くしていたのだが、どうも当人のジュリさんは元気がないといえばいいのか、いつも通りなのか、やはり明るい表情はなかった。そして私は少し学生たちのエネルギーに疲れてしまったのか、少しカラオケボックスの外で休むことにしたのである。 「やっぱりあなたなのね!」とジュリさんがいきなり私のほうにきて叫んだのである。 「何が?」と私は言いたくなったが、彼女はかなりのヒステリックな声で私の胸元をつかみ殴ってきたのである。 「この人殺し!悪魔!なんであんたが生きていて私の両親は死んだのよ!全部あんたのせいよ!死んで償え」とポケットからナイフと出してきて私の心臓めがけて刺そうとしてきたのである。 「何してるの!」と警官がたまたまいてくれたのか。すぐにジュリさんを叫んだのがあまりにも大きかったのか。警察は私のほうにきて助けてくれたのである。 しかし彼女は警察に捕まっても鬼のような形相で私のほうを見ていたのである。 バイト仲間や店長、そして新谷さんは私のところにきて、心配してくれていたが、今回のことで私の印象は悪くなってしまうのだろう。 「理由は聞かないで下さい」と私は店長に頭を下げて、そして今日は帰ったが、帰る電車に新谷さんが乗ってきたのである。 「いきなりのことで言葉が見つからないんですが、もしかして間中さんてジュリさんの家族を殺した殺人犯何ですか?」と新谷さんが悲しそうな目で見てきたのである。 彼女は良い人なのだろう。 「・・・・・・・・・・・・・そうじゃないといえばそうなのかもしれないし、そうといえばそうなのかもしれない」と私は昔のことを思い出していた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加