後々話

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「あぁ、俺は今日転校して来たんだよ」 「転校?こんな時期に?」 「まぁ、いろいろあってさ。 2組になったんだ。君は、1組だよね?」 あれ。どうして僕が3年1組だと知っているのだろう。 口を止めると、彼が苦笑いしながら答えを教えてくれた。 「教室から出るところを見てたんだ。たまたま帰り道が同じ方向だから、声をかけてみた」 「そうなんだ」 「良かったら名前教えてくれる?」 そう聞かれたから、僕は自分の名前を口にしようとした。 けれどその時急に、頭の中でこの光景と全く同じ光景が浮かんでくる。 前と同じような体験をしたような……。 えっと。何て言うんだっけ、こう言うの。 デジ…………。 デジャブ! 初めてのはずなのに、初めてではない気がする現象。 彼に自己紹介をするのが、初めてではないような気がする。 いやいや、そんな訳がないのだけれど。
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