1283人が本棚に入れています
本棚に追加
意味不明ではないか。意味が全く通じない訳ではないか。
意味は通じる。文書としては理解できる。読解できる。要するに偽物を探すゲームなのだろう。
本物に変装した偽物を探すゲーム。
ウォーリーを探せみたいな。昔よくやったな。
ウォーリーと言うのはおちゃらけた雰囲気の人間を描いているけど、実はあの人は殺人犯なんだ。
囚人服を着た殺人犯が脱走した。それがウォーリー。そのウォーリーを探すと言う前置きの元であの本があるんだ。
小さい頃はそんな事、考えもしなかったけど。まぁつまり、そのウォーリーと同じ感じ。似ている。
中に殺人犯がいて、それを突き止めないと全員殺されますよーって感じの。
最近のゲームやアニメ、映画なんかによくある設定だ。
「誰だよ、こんな落書きしたやつ!」
サッと、僕が釘付けになっていた黒板の文字が消される。黒板消しが白い文字を通り抜け、その部分だけが抜け落ちる。
芸術的な文字が消えていく。少しずつ、消されていく。
本日の日直、高尾くんに消される。
「ホームルームまでに消しとかないと、怒られるの俺じゃんか」
ブツブツと文句を垂れながら、高尾くんは黒板の文字を全て消した。
消したと言いながら、でも消し方が雑だから白い粉の跡が残っている。
窓を布巾で拭いた時、拭いた跡が残るのと同じ。黒板に消した跡が残っている。これだとどの道、先生に怒られる気がするんだけど。
まぁでも文字は消えた。何て事はない。ただ書いてある文字を消しただけだ。先生に怒られるから、消しただけだ。
僕を含めたクラスの生徒全員、別にその行動に気にした様子を見せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!