雪之上雫1

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意味不明ではないか。意味が全く通じない訳ではないか。 意味は通じる。文書としては理解できる。読解できる。要するに偽物を探すゲームなのだろう。 本物に変装した偽物を探すゲーム。 ウォーリーを探せみたいな。昔よくやったな。 ウォーリーと言うのはおちゃらけた雰囲気の人間を描いているけど、実はあの人は殺人犯なんだ。 囚人服を着た殺人犯が脱走した。それがウォーリー。そのウォーリーを探すと言う前置きの元であの本があるんだ。 小さい頃はそんな事、考えもしなかったけど。まぁつまり、そのウォーリーと同じ感じ。似ている。 中に殺人犯がいて、それを突き止めないと全員殺されますよーって感じの。 最近のゲームやアニメ、映画なんかによくある設定だ。 「誰だよ、こんな落書きしたやつ!」 サッと、僕が釘付けになっていた黒板の文字が消される。黒板消しが白い文字を通り抜け、その部分だけが抜け落ちる。 芸術的な文字が消えていく。少しずつ、消されていく。 本日の日直、高尾くんに消される。 「ホームルームまでに消しとかないと、怒られるの俺じゃんか」 ブツブツと文句を垂れながら、高尾くんは黒板の文字を全て消した。 消したと言いながら、でも消し方が雑だから白い粉の跡が残っている。 窓を布巾で拭いた時、拭いた跡が残るのと同じ。黒板に消した跡が残っている。これだとどの道、先生に怒られる気がするんだけど。 まぁでも文字は消えた。何て事はない。ただ書いてある文字を消しただけだ。先生に怒られるから、消しただけだ。 僕を含めたクラスの生徒全員、別にその行動に気にした様子を見せなかった。
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