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夜中の虫
最近夜中になると、やたらと部屋に虫が出る。
起きている間は気配も感じないのに、ようやく寝つこうかという頃になると、耳元であの、不愉快極まりない羽音がするのだ。
殺虫剤やら他の虫よけ商品やらを駆使してみたが、効き目がないのかと思うくらい、夜中になると羽音がする。
だからこの季節でも、長袖を着たり布団をかぶったりして凌いでいた。
そんなある夜、また耳元で小さな羽音が聞こえた。
ぷぃーん。
聞いただけで全身が痒くなるような音だ。
だけどあえて動かず、俺はじっと羽音に耳を傾けた。
飛んでくる。離れる。また寄って来て…どこかに止まった。
それと同時に、枕元の電灯用リモコンをオンにした。
左手の甲に一匹の虫が止まっていた。多分俺の血を吸おうとしている蚊だ。
見た瞬間、脊椎反射で右手が動く。
見事ヒット! 手のひらと甲の間でぺちんと蚊は潰れて死んだ。
その瞬間。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
部屋の外から凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
慌ててワンルームの外に飛び出すと、同じマンションの住人達がなんだなんだと部屋から飛び出して来ていた。
なのに一つだけ開いていないドアがある。
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