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「おじいちゃん、おばあちゃん」
買ってきた花を活け終わって、そのまましゃがみ込んでいた。
「今度お見合いすることになったんだ。そろそろ、いいかなと思ってるの」
お墓が質素に並ぶこの土地に来ると、いっそう空気が澄んで感じる。墓地とはそういうものなのだろうか。
昔はずっとおばあちゃんっ子だった。温かくて、大らかで。いつも相談するならおばあちゃんだった。
おじいちゃんは、今の父がそうであるように一家の大黒柱としてどっしり構えていた。体裁よりも、努力を認めてくれる人だった。
がんじがらめの中で、甘やかしてくれた二人。うちは意外とバランスが良かったのかもしれない、と不意に思う。
「真美も将来を考え出す時期だし、年の離れた姉の心配をさせてちゃダメよね」
いつも真美は自分の立ち位置を考えながら、私の心配ばかりしていたから。それは、身近でずっと感じていた。
将来のために必要な知識も教養も、ちゃんと学べる環境で育ててもらった。
社会人になって、生きていく術も徐々に覚えた。
両親にも、お礼を言わないといけない。
25歳を迎える今年、私はまた一つ、踏み出すのだ。もうずっと前から、そう決めていたから。
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