ほどけて

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「ベッドに入っていいんですよ。それか、何か飲みますか?」 「今日まだシャワー浴びてないから。風呂入らずにベッドに入れないんだよ、俺」 本当に適当なんだか、神経質なんだからわからない。眠たい頭を起こし「なんでも好きに使ってください」と言ってバスタオルとパジャマ用のTシャツとスエットをなんとか渡した。シャワーの水音を聞きながらいつの間にか眠っていたらしく、ベッドが沈み込むのを感じて意識がふっと戻った。潜りこんできた貝瀬の体を意識せず抱きしめた。 「ごめん、渉。急に会いたくなって」 そんなことを言われたら、胸がきゅうと締め付けられる。足を絡め、額に唇をつけた。風呂上がりのしっとりした肌を今まで以上に近く感じる。 「なにかありました?」 「ん…、ちょっと友達のうちの近くでガス爆発があって…」 ぼんやりした頭が一気に覚醒する。 「大丈夫、なんですか?」 「ん…メッセージの返事まだなくてわからないけど、ネットの動画と地図で確認したから多分大丈夫だと思う。でも建物が崩壊しただけじゃなくて、周囲も衝撃波で窓ガラスが大分割れたって読んで不安になって。今も原因がわからなくて広い範囲で立ち入り禁止になってるみたいだ」 濡れたままの髪を胸にかき抱き、唇をつける。外から街灯の光が差し込む部屋はうっすらとブルーがかっていて、静かで、貝瀬の声だけがしんと響く。 「友達も心配だけど、渉に何かあったら、俺すごく怖いなとか一人で思い始めたら、会いたくなった」 「俺は大丈夫ですよ。ご友人に何もなければ…」 「ん…ごめん、急に来て。おまえほんと俺に甘いよな。甘やかせ過ぎだよ」 答える代わりに背中を抱き、体をぴたりと添わせた。こんな時でも触れる息は熱い。こもった空気の中で唇を合わせた。
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