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それでも、私は少しでも可愛いと思われたい。
そう思えるようになった。
一足しかないのは心もとない、綺麗なパンプス。
明日、靴屋にいって、少しだけ可愛いパンプスを一足買う。
そうやって、彼からお誘いが来るかもしれない水曜日を待って、ホテルに入ったりなんかしない。
これっきりよとキスをして帰ってやる。
女の子には敵わないことを知ってしまったけど、いつかまた好きになった人に少しでも可愛いと言われたいから。
あなたに、女を置いて、帰ってやるんだわ。
今までの私は主人公にさえなれなかったけど、明日が今日になるとき、私は灰かぶり少女になる。
少女だなんて年ではないけれど、私はここから少し抜け出す。
そう、ほんの少し。
ほんの少しの変化を信じて、私は、鍵をさしこんだ。
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