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ずっとそうしなければと思い過ごしてきた。
それでいい、それが私にしっくりくると、自分に言い聞かせてきた。
それでも悔しいのは、悔しかったのは。自分をだまし続けてきた結果なのだと、思い知らされた。
まさかこんな形で気づかされるなんて、思ってもみなかった。
私と居るときにはない陽気を身に纏った彼から、私にはないものを身に纏った彼女から、離れて。
自分の役割だと本音を底に押し込めて、そうやって過ごしてきたのに、踵を返す。
一人暮らしの自分だけの空間で、声を殺して泣くことしかできなかった、それが惨めだった。
彼に会うのはやめよう。
そう決めたのは、その日から一週間たった今日。
これから帰って、シャワーを浴びて。
そしてあのボロボロでも私の足に馴染むパンプスは捨ててやる。
女の子には敵わないことを知ってしまった。
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