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episode196 ダルタニヤンとエデンの毒蛇
「一つ言えることは――」
屋敷に戻ると我が家の女王様が
「天宮家の財産とイギリスの大貴族のそれじゃ比べ物にならないってことよ！」
長いガウンを引きずりながら
無反応の次兄相手に熱弁をふるっているとこだった。
「やあ」
「ごきげんよう、お姉様。夜遅くにお元気ですね」
この様子じゃもう
件の結婚話をご存じのようだ。
「あら、おそろいでお帰りなさい」
貴恵は青い顔で居間に現れた僕らを
退屈そうに睨んで。
「ああ、人生って本当に不公平よね。童話の世界じゃ王子様と結婚するのはお姫様だって相場が決まってるのに！」
悲劇のヒロインみたいに
ソファーに身を投げながら。
「少なくともこの家じゃお姫様はあたし一人のはずよ」
文句たらしく言った。
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