episode196 ダルタニヤンとエデンの毒蛇

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椎名さんに抱かれている間。 ブロンドを抱く征司と 僕を愛しげに抱く九条さんの幻影が 瞼の裏で繰り返し点滅した。 「良かったか?」 「うん……」 彼との情事に不思議と虚しさはなかった。 「そりゃよかった」 「何?ご不満?」 むしろ椎名さんの方が 普段は吸わないタバコをふかして 「いや。でも抜け殻を抱いてた気分さ」 神妙な面持ちで窓辺に腰を下ろす。 「なあ、明日にでもイギリスに行けよ」 「は?」 「アーサー卿のお屋敷にいるんだろ?直接お兄様に会いに行け」 言うと煙を吐きながら 椎名さんは流し目で僕を見下ろした。
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