episode196 ダルタニヤンとエデンの毒蛇

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現金なもので。 「でも征司が英国貴族になれば、お城の一つくらい妹の私に回ってくるかしら?」 先日まで天宮家の後継者問題で 血眼になっていたくせに。 「どうせガセだろ?そんな馬鹿げた話――」 欲を出すお姉様とは裏腹。 薫はちっとも取り合わず 読みかけの本から顔も上げない。 「でも確かな筋から聞いた話よ」 「イギリスからの要人ですか?」 僕が口を挟むと 貴恵は女優のように眉を上げ 「ええ、そう。だから間違いないわ」 すっかり話を信じ込んだ様子で 仰々しく頷いた。 と――。 「失礼します」 戸口のところに 何やら手にした満がやってきた。
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