episode196 ダルタニヤンとエデンの毒蛇

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「できないよ。招かれてもないのに……」 枕を抱えたまま僕が躊躇していると 「もしかしたらの話さ、征司くんが帰りたくても帰れない状況だったとしたらどうする?」 窓辺で足を立て 椎名さんは何度か舌を打ち鳴らした。 「征司お兄様が?!」 まさか、あの人に限ってそんなこと――。 言葉の続きは分かってるとでも言うように 椎名さんは頷いて。 「電話口で彼と話したかい?」 鋭い瞳で僕に問う。 「いや、でも……」 「それじゃ赤い制服の衛兵に囚われてないとも限らない」 「まさか!冗談でしょ?」 と唐突に。 「クリスチャンのこと少しは知ってる」 「は?」 「あいつ綺麗は面しているが――あっちの方は男そのものだぞ」 「はぁ!?」 「もしかしたら花嫁は征司くんの方かもしれないぞ?」 ――椎名さんは言った。
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