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「頼まれていたものをお持ちしました」
満がこちらにやってくるや
「やっと来たわね!」
貴恵はソファーから飛び起きて。
手にしていた書類を忙しなく受け取る。
「それは?」
「フレデリック・アーサー卿の家系図よ」
細かい英語で書かれた書面を
みるみるテーブルに広げるや。
「あったわ!」
細い指先が
アーサー卿の子供たちの名を一人一人辿り始めた。
「この中に征司の花婿がいるはずよ」
思わず僕らも。
ガセネタだと
切り捨てていた薫でさえ身を乗り出して。
「えーと、まずはフレデリック・アーサー・ジュニア。これが長男ね」
貴恵の指先の行方を見守る。
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