華に狼、月にお砂糖

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 私、望月華(もちづき・はな)には、憧れの君がいる。 「華さん華さん、この書類、どうしておきましょう?」 「右の山は認可済み。  配達先別にまとめてあるから、各部署に宅配して頂戴。  左の山はまだ未認可だから、そのままにしておいて」 「華さん華さん、面会希望のお客様がいらしてます」 「アポはなかったはずだわ。  今からだと1時間ほど待っていただくことになるけれど、それでも待つか、出直すか訊いてみて頂戴」 「華さん華さん、お電話が入ってます。  お繋ぎしてもよろしいですか?」 「どちら様から? ……あぁ、繋いで頂戴」  デスクの受話器を上げながら、チラリと遠くに見えるデスクに座る人を見つめる。
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