6人が本棚に入れています
本棚に追加
今まで、どんな事でも男性に負けたことのない千賀子は、カメラのセンスにおいて悟には勝つことが出来なかった。
いくら千賀子が努力をしても、やはりこれは持って生まれた天性のものなのだろう。
千賀子のカメラの腕もよかった。
だが、しかし悟を超えることは出来なかった。
それが悔しくて自分のカメラの腕を磨く毎日を送っていた。
そんな千賀子を見て悟が言った言葉に千賀子は愕然とした。
「おい、千賀子、何でそんなに向きになるんだよ。カメラってさ、人それぞれの撮り方があるだろう。千賀子には千賀子の撮り方でいいんだよ。千賀子の撮った写真を気に入る人が必ず出てくるからさ、千賀子は自分らしい写真を撮ればいいんだよ」と言われた。
千賀子はそれを聞いて、悟は千賀子の事を全くと言っていい程ライバル意識していないんだと、当たり前かと内心思いながら寂しい気持ちを持っていた。
二人は恋人同士なんだから、千賀子がどんなにライバル意識を持ったところで、悟にはそういう思いはなかったんだと思い知らされた。
最初のコメントを投稿しよう!