第1章 リカとアンジュ

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「ちょうどいい。お昼にしよう。君もどう?」 「……え?」 白いテーブルクロスの上。 ガラスのケースに収まった玉虫は まるでオブジェのように美しい。 だけど――。 「あのさ、アンジュ」 「何?」 あれは生きてるんだ。 飾り物じゃない。 「このままじゃ……玉虫、死んじゃうよ?」 「かな?」 「だって空気入んないし……おまけにこの暑さだし」 分からないはずないのに。 アンジュはグラスを並べて 水差しからアイスティーを注ぐと。 「ふうん」 無関心に答えて僕に片方を差し出した。
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