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サンドイッチに齧りつくと
ビーチチェアに身を投げる。
「君も座れよ」
「ああ。うん……」
アンジュに進められるがまま
隣の椅子に腰を下ろすけれど。
手渡されたグラスが
すぐに手の中で汗をかき始める。
「言っておくけどうちの母親はあまり料理が上手くない」
「何?」
「家ではいつもケータリングか外食なんだ。だからこんなサンドイッチでもまあ、本人としては頑張ってる方」
チーズが分厚いとか。
マスタードが利き過ぎだとか。
その後もたわいない文句を言い
声を潜めてアンジュは笑う。
(どうしよう……)
まるで目の前の玉虫のことなど
すっかり忘れてしまったように。
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