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そうしている間にも
ガラスのドームを被された玉虫の動きは
徐々に緩慢になってゆく。
「ねえ……苦しそうだよ」
出口を求めてさまようように
うろうろして。
時折
美しい羽を擦り合わせる。
「どうして苦しいと分かるの?」
「だって……」
アンジュの指が
胸の引っ掛かりを何度も往復すると
僕の声は恥ずかしいほど上ずって。
「苦しそうに見えて、もしかしたら気持ちいいんじゃ?」
「そんな……死んじゃうよっ……」
それが一層
羞恥心に拍車をかけた。
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