第1章 リカとアンジュ

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そうしている間にも ガラスのドームを被された玉虫の動きは 徐々に緩慢になってゆく。 「ねえ……苦しそうだよ」 出口を求めてさまようように うろうろして。 時折 美しい羽を擦り合わせる。 「どうして苦しいと分かるの?」 「だって……」 アンジュの指が 胸の引っ掛かりを何度も往復すると 僕の声は恥ずかしいほど上ずって。 「苦しそうに見えて、もしかしたら気持ちいいんじゃ?」 「そんな……死んじゃうよっ……」 それが一層 羞恥心に拍車をかけた。
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