第1章 リカとアンジュ

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「ゆっくりして行って」 「ありがとうございます」 母親が去ってしまうと。 目を閉じたまま 仰向けに水面に浮かんでいるアンジュを 僕はしばらく眺めていた。 太陽の光を浴びて 蜂蜜色の髪がキラキラと水面に広がる。 まるで 青いゼリーの表面を泳いでいるかのように その表情はあまりに柔らかく甘美だ。 小鹿のよう。 本当に天使のよう。 残酷さなんて微塵も感じない。 だけど――。 「君も来いよ」 それも 僕と目を合わせるまでの話だ。
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