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戸惑っている僕に。
「虫は逃がしてやったんだ」
水に濡れた天使は
「代わりに君が来い」
薄い唇を吊り上げて
恩着せがましく命じる。
暑さのせい。
いや
すっかり彼の毒に当てられて。
「……分かった」
僕はすでに
思考力など持ち合わせてはいなかった。
だから――。
ビーチチェアの上に
脱いだパーカーを放ると。
「待ってて」
ほんの少し
形ばかりの準備運動。
そうして――。
アンジュの待つプールに
僕は勢いよく飛び込んだ。
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