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一年の時が経ったある日、ポストに一通の手紙が届いた。ただ差出人の名前がない。
小首を傾げて、誰からだろうと思案する。
『三間真司様』との綺麗な文字が一瞬光って見えてドキッとした。どうにも嫌な予感がする。開けずにゴミ箱に捨ててしまおうか。けど、もし大事な手紙だったらと思うと無下に扱えない。裏面に名前を書き忘れただけってこともある。
開ければわかることだ。
俺は開封して一枚の便箋を取り出して目を向けると、ハッとして身体を硬直させた。
『誰か助けて!』
赤い文字が飛び込んできた。文字が生きているかのように浮き上がってくる。すぐさま便箋を放り投げた。ありえない。俺は疲れているのかもしれない。
それにしてもあの赤い文字は、まさかとは思うが血文字じゃないだろうな。
放り投げた便箋は俺のほうにその赤い文字を見せつけている。背筋がゾクゾクッとした。
いったいなんなんだ。こんな手紙、誰が送り付けてきた。
ごくりと生唾を呑み込み、便箋を拾うとすぐにぐしゃぐしゃと丸めてしまった。気持ち悪さが込み上げてくる。悪戯だとしたら相当な悪趣味な奴だ。
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