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3
休日出勤を終えた寺坂がスーツ姿のまま部屋に来た。
体調がよくないのか体を怠そうにしている。上着をソファーに掛けて、そこへ横になった。息が荒かった。
「大丈夫?」
「ああ、疲れたよ」
顔を覗き込むと目が赤くなっていた。しきりにくしゃみをしている。目が痒いのか、寺坂は何度も指先で眼元を拭った。
「体調悪いの? 薬飲む?」
「いや、多分風邪じゃない」
額を触ると熱はなさそうだった。よく見ると白目の部分がゼリーのようにぶよぶよしている。呼吸も少しおかしかった。
「なんか、この前の時の症状と似てる。花粉症とか言ってたやつの――」
「ああ……なんだろうな。確かに、なんかおかしいんだよな」
「病院、行った方がいいよ。今ってどの花粉に反応するか血液検査で調べられるみたいだから」
「そうだな」
「大丈夫? 息、苦しいの?」
喉元を空気が通る時の音がヒューヒューと聞こえる。不安になって寺坂のネクタイを外し、シャツのボタンを緩めてやった。
「花粉だけじゃないかもね。化学的なものとか……ダニとかハウスダストとか……」
「まぁ、ストレスとか色んな要因もありそうだな」
部屋は綺麗に掃除する方だったが、ここの所、雑な掃除機の掛け方しかしていなかった。俺はそれを心の中で反省した。
「なんか作る?」
「ああ、軽いものでいい」
寺崎は温かいうどんを食べるとすぐ横になった。
寺坂の部署では開発中のシステムの単体テストが始まり、生じたバグの細かいモジュール修正を行っていた。仕様書を上げ、これから段階を踏んでテストを重ね、迫る納期と戦いながらリリースまで漕ぎ着けなければならない。
忙しい時期を迎え、寺坂の体調が心配だった。納期明けまでなんとかこのまま頑張って欲しい。ベッドに横たわる寺坂の体を眺めながら電気を消した。
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