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乱暴に両手を押さえつけられ、激しく口の中を貪られる。
寺坂は優しい。俺の我儘を全部聞いてくれる。
けれど、セックスの時だけは違った。言葉は甘くても、一ミリも動けないほどの強い力で俺を押さえつけ、好き放題した。
少しでも抗うと信じられないくらいの激しさでそれを阻止し、抵抗を楽しむかのように執拗に責め立てる。
余白がなくなるまで追い込み、理性やプライドがぐちゃぐちゃになるまで荒々しく蹂躙した。寺坂は俺がすすり泣いてやめてと懇願するまでその手を絶対に緩めなかった。
俺は寺坂の美しい手が理性をなくす瞬間が、端正な顔に嗜虐が滲む瞬間が、堪らなく好きだった。そのギャップにどうしようもなく感じた。
「何? またすんの?」
「悪いか?」
「今日も絶倫ですか?」
からかうと体を裏向けられ、両手で臀部の肉を割られて窄まりをあらわにされる。そこへ息を吹き掛けられた。
「いつまでそんな口をきけるか、楽しみだな」
ベッドの上に四つん這いにされ、後ろから声で犯される。
昂りを手で刺激されながら、いやらしい言葉を囁かれ続けた。ぬるつく先端を繊細な指で撫でられ、我慢できずに腰が浮いた。寺坂はそれを見逃さなかった。
「欲しいのか?」
小さく笑われ、甘い息が耳元に掛かった。
確かめるようにゆっくりと前後する手の感触をやり過ごしていると、指で浅く窄まりを掻き回されて焦らされた。前と後ろの愛撫に耐え切れなくなり、寺坂をせがむと小さく笑われた。
「仕方のない猫だな」
低く甘い声で理性を溶かされ、そのまま耳のカーブにキスされる。耳朶を唇で優しく吸われた後、舌で小さな穴を犯された。
「かわいいな、おまえは。我儘で自分勝手で気分屋で……逃げるくせに、こうされるのが大好きな……どうしようもなくいやらしい……俺の猫だ」
待ち望んで震えていた蕾を一気に貫かれ、女のように喘いだ。
熱を持った塊に押し広げられ、慣らされ、形を覚え込まされる。粘膜を性器に作り変えられ、そこで寺坂を愛撫する事を教えられる。一度、快感を与えられた内壁は素直に寺坂を求めるようになっていた。
自分が猫にされるのも悪くない――。
絶え間なく襲ってくる快感の中で、ひとり苦笑した。
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