「愛猫」谷崎トルク

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 三日目に羽根田から電話があり、猫の話を訊かれた。元気に過ごしていると告げると羽根田は安心し、通話を終えた。 「ふぅちゃん」  遠くから呼んでみたが、猫は耳の先をピクリとさせただけで寝たふりをしている。ちゃんと聞こえているんだなと笑みがもれた。  猫は何度か呼ぶと仕方がないなという感じで、尻尾を二回とんとんと揺らした。これだけ心を開かないのも、性格がハッキリしていて逆に気持ちよかった。懐くまでには相当時間が掛かりそうだと思った。
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