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けど、
「もう帰るのか?」
誰かに声をかけられた。
みんなもう次に行くか帰るかしているかと思ったのに、まだ残っている人が居たのか……
精神面で気分が優れないけど、ここは愛想よく、
「はい、ちょっと体調が―…」
優れなくて今夜は一次会で失礼しますー、と
言おうとしたのだけど、
「……っ!!??」
そこに居たのは若槻総支配人……!
「ふーん……体調ねー…」
私の顔をジロジロと疑いをかける様な目で見てる。
私とした事が瞬時にその声の持ち主を察することが出来ないなんて……
っていうか、まずい……っ……!
私、心の準備が出来ていないのに、そんなにジロジロと凝視しないで欲しい。
「うっ……」
ほら、無防備に頼くんを見てしまったものだから、眩しくてしょうがない~!
頼くんは、
擦れ違ってしまえば、つい振り向いて目で追いかけずにはいられない程の端正な顔立ちをしていて、
スタイルなんてモデル並み。
そのダークブラウンの瞳で見つめられると、
きっと殆どの女性は虜にされてしまう―…
この歓楽街の怪しげなネオンなんて比べようにもならない程、煌びやかで魅力的な男性だ。
つい、今の立場やこれまでの事も忘れて、
「・・・・・・」
うっとりと見惚れてしまうくらい。
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