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「ああ、でもお前、今は別の彼氏がいたんだっけ？仲良くハワイに行く彼氏が」
「だからハワイ旅行の件は……！」
直前で破局して女一人旅だったから！
と言おうとするけど、
「これって浮気の内に入るのかな？罪な女だね、〝希穂”は」
そう、若槻総支配人は言葉を被せてくる。
その上、
「ま、久々の俺とのキスが恋人への裏切りになったかもって精々悩んでおけよ」
〝希穂”
なんて、また私の名前を口にして、片手で頬杖ついて更に意地悪く笑ってる。
もぉ、
久々に会って、冷たくしたり、強引に引きずったり、
キスしたり、
一体、何なのよ……！？
感情が抑えきれそうになくなってきた私は、
「……もん」
「あ？」
「私は今、恋人なんていないもん！何を隠そうハワイに行く前に破局しちゃったからねっ！！だからこれは浮気ではないし、残念でしたっ、ざまぁみろっ！」
あっかんべー、までつけて、
会員制Barに若槻総支配人を残して、飛び出していった。
振り返りもせず、そのまま雑居ビルを出て、
夜の街から、
若槻総支配人から逃げた。
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