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ひっそりと見つめていた私と若槻君の距離が縮まったのは、
高校二年生の学園祭準備の時。
私はまた実行委員を引き受けていて、校門に飾るアーチ作りに参加していた時だった。
装飾するバルーンを黙々と膨らましながらも、
〝若槻君って前世は何だったんだろう……古代エジプトならファラオで古代ローマとかだったら皇帝とか……絶対に君主って感じ”
〝ってことは日本だったら帝ってこと……?どっちかっていうと洋のイメージだけど、和の若槻君も想像すると……”
(艶ヤカナ、帝バージョン…想像チュウ…)
た、たまらな~い……!
なんて学園祭のアーチ作りとは全く関係のないことを考えて、
一人興奮していると、
「へー、今年はバルーンでアーチを作るんだ」
そんな言葉でいきなり話しかけてきたのが、若槻君本人。
「み、帝っ……!」
「は?」
「な、なんでもないです……」
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