【絶対なる】過去【支配3】

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「来栖さんって面白いよね」 お、おもしろい? 褒められてる?変人って思われてる? ドッチ!? 「普通です」 この返し、正解?もっと他の返し方あった? 「じゃ、さっさとこれ膨らましてしまおうか」 「はい」 私の若槻君への恋心も大きく膨らんでしまった、学園祭準備でのワンシーン。 これを機に、若槻君から話しかけられる事が多くなった。 そして、高校二年生のバレンタイン・デー。 「来栖さんはさ、俺にくれないの」 放課後、その日は日直で日誌を職員室へと持って行く途中の廊下で若槻君にそんな言葉をかけられた。 「何をですか?」 「勿論チョコ」 「父と兄以外は予定してないんです」 って、言ったけど、本当は昨日夜遅くまでハートのチョコレートケーキを制作していた。 若槻君へのチョコ。 だけど、私なんかが渡したってその他大勢からの中の一つになってしまう。 何より渡す勇気なんてなくて、若槻君用のチョコレートケーキを作って達成感を味わうという自己満足止まり。 でも、 〝くれないの?” って、私のチョコを欲しいって思ってくれたこと? 「そっか、残念だな」 と笑った若槻君は、 「来栖さん、そろそろ俺の気持ちに気付いてよ」 って言った。 「え?」 「俺、来栖さんのことが好きなんですけど」 「わたし……?」 「だから、俺の彼女になろうよ」
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