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突然の言葉に、
「・・・・・・」
また思考が停止してしまう。
「だから聞いてる?」
「は、はい」
「もしかして俺、ふられるのかな?」
「ま、まさか……!私だってずっと若槻君の事が……!」
「俺の事が?」
若槻君は私の心の中なんてお見通しかの様な表情で見てる。
「言ってよ、来栖さん」
「わたし、は……」
心に秘めてきた想いは若槻君には見透かされてる。でも、
口に出してよ。
言葉にしてよ。
と、若槻君の瞳が求めてる。
「若槻君が好きです……っ」
ああ、ついに言ってしまった。
初の告白は、予行練習もイメトレもない、突然の流れ。
この状況と自分の発言に顔を真っ赤にしてしまうと、
そんな私の頬にそっと手を添えて、
「よろしく、希穂」
そう名前を呼んでくれたこと、今でもはっきりと覚えてる。
あの若槻君と私の交際の始まり。
究極のモテ男、若槻頼近。
校内では誰も彼の彼女の座を射止めた女子はいなかったから、私の存在はあっという間に知れ渡り、
「あ、若槻君の彼女だ」
「若槻先輩の彼女ってあのひと?」
「うわ、若槻君と一緒にいる!あの二人、本当に付き合ってるんだ」
周知のカップルとなった。
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