【絶対なる】過去【支配3】

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東京に住む若槻君にサプライズで会いに行くと、マンションの前で思わぬ人物に会った。 「あれ?千尋?」 若槻君が住むマンションから出てきたのは、小、中、高と同じ学校で友達の竹林千尋。 「え、何で千尋がここに?誰か知り合いがいるの?」 「―…」 「千尋?」 「……若槻君」 「え?」 「若槻君に会いに来てたの」 千尋は私を見ようとせず、バツが悪そうな顔をしてる。 「どういう……こと?」 「見ての通り。私も若槻君と付き合ってんの」 「う、嘘!」 「嘘でこんな所にいると思う?でも、本当は付き合ってるじゃなくて付き合ってたになるけど―…若槻君さ、知っての通りモテるでしょ?こっちでも沢山女作って遊んでるみたい」 「そんな嘘言わないでよっ!今から頼くんに会って聞くから!」 「やめたほうがいいよ。今、遊びの子と部屋にこもってるんだよ?何してるかくらい想像つくでしょ?」 「……っ」 「ねぇ、希穂も若槻君とは別れた方がいいって!あんなにカッコいいんだから寄ってくる女なんていっぱいいるし、東京に出てきたら尚更だよ!?希穂も本当はずっと不安だったんじゃない?もっと傷つく前に自分から別れたほうがいいって!」 千尋の言葉は私の心に鈍い痛みを刻んでいく。 嘘だよ。 あの頼くんが千尋と付き合ってたなんて。 嘘だよ。 東京で沢山女を作ってるなんて。 今からその嘘を証明するために、このマンションに乗り込んで行けばいいんだ。 そう、 思うけど、怖い。 もし、千尋の言う通りだったらと思うと怖い。 だって、千尋がここに居る事自体、おかしなことだもの。 本当に頼くんは千尋とも付き合っていて、他にも女の人と―…? 「―…」 気が遠くなる。 考えれば考えるほど現実を知るのが怖い。 「だから希穂、私と一緒に地元に帰ろうよ」 そんな言葉を千尋は私にかけてきたけど、肩に手を置いてきたけど、 「……やっ」 私は千尋の手を振り払って、ひとりマンションから離れた。
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