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 タツオが手をあげた。 「東園寺指揮官、発言を求めます」 「許す、逆島」  タツオはジョージの目を見つめていった。 「副官に異存はありませんが、今回は作戦担当の補佐官を特別にひとり欲しいのですが」  サイコが射貫くような目でタツオをにらんできた。 「菱川か」 「そうです」 「許可する。菱川、我々が勝つ手があるというなら、その作戦を提出してくれ。期待している」 「わかりました」  冷たい風の吹く秋の夜、東園寺班の7名の周囲だけ青白い鬼火が燃え上がるようだった。ススキの銀の波が甲3訓練場の周囲を嵐の海のようにうねりながら囲んでいる。  朝までに自分たちはこの演習場で初めての勝利を飾ることができるのか。タツオは編み上げのコンバットブーツのなか、足を踏みしめていた。
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