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真夜中、緊急警報で目が覚めた。室内は赤色灯で照らされている。手元にある情報端末からもアラームが流れていた。心臓がどくどくと鼓動を刻んでいるのがわかる。心拍が上昇しているのだ。
「マルフタサンマル(02:30)より、戦闘訓練を開始する。訓練生は準備を完了して、甲3訓練場に集合せよ」
タツオは完全に目覚めた。腕時計を見る。あと17分で訓練開始だ。ジョージが隣のベッドからいった。
「人づかいが荒いな。タツオ、見たか」
タツオはベッドを跳ね起きて、着替えているところだった。軍パンは防刃(ぼうじん)性能が高い合成繊維でできているが、妙に分厚くはきにくい。
「いいや、なにを」
ジョージはベッドから出ると洗面台に向かった。なにがあっても目覚めたら最初に歯を磨くのがジョージの習慣だった。真夜中に始まる抜き打ちの戦闘訓練でもそれは変わらない。
「命令文の最後のほうに訓練の組み分けがあったよ。タツオはサイコと同じチームだ」
「あっ……そうか。わかった」
声で動揺は悟られなかっただろうか。タツオははきにくいパンツの前立てのボタンを閉めていった。
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