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あたしは疲弊していた。
ここ連日、男の子から、雑談のフリした恋愛相談を、しつこく持ちかけられている。
一昨日は、お昼休みのランチ中。宇沢っちが、
「あーあ。ボク、男らしくなれたらなぁ」とか言ってくるし。
いいじゃん、アンタかわいいんだから。年上の子でも狙えばいいじゃない。
昨日は、朝の日直で一緒だった井沢の奴が、
「話題を増やすには、どうしたらいいんだろうか」とか、目線も合わせずにボソッと言ってくるし。
頭良いんだから、何とかできるでしょ? もっと自然に話しかけらんないの?
今日は、体育の授業の終わりに、相沢君が
「やっぱり、男は将来性だよな!」とか言って、やたらニコニコしてるし。
先の話なんか知らないっての。なに分かった風なこと言ってるの? 単細胞のくせに。
そして、何に疲れたって、三人の言葉の裏に、全て、はるかの姿が見え隠れするところ。
そう。あたしの親友「江沢はるか」。
はるかは、優しくて、明るくて、かわいくて。そりゃあ、人気ある。
親友のあたしから見ても、こんないい子、ちょっと他にいないと思う。
男の子なんてみんな単純だから、ちょっとした目線とか仕草で、誰に矢印出てるかなんてすぐ分かる。
さっさと告白して、矢印、確定しちゃえばいいのに。
いつまで、はるかを頂点とする三角すい状態になってるの?
でさ、その男の子たちの眼中には、あたしは全く入っていないわけ。
「小沢はサバサバしてて、話しやすい」とか言って男の子は寄って来るけど、
蓋を開けると「実は、江沢さんのことが……」って。飽きた! そのいつもの展開!
ほんと、いい加減にして欲しい。
三人とも、自分の魅力で勝負すればいいじゃないの。
他人の事なんて、どうでもいいでしょ?
いちいち付き合わされる、こっちの身にもなってよ。
あーあ、はるかはホントにいいなあ。
こんなにたくさん、想ってくれる人が居て。
あたしにも、矢印こないかなあ。
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