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ーー夜が更けた。
作った薪を囲んで、そろそろ目がうつらうつらとしてきた朝日は未だ寝転びようともせず、座ることもない赤髪を見つめていた。
「ルギアさん、寝ないんですか?」
「もしも何かがあった時、困りますので。」
あくまで彼の反応は硬い。
「あっ!じゃあもしよければ、交代制にしませんか?」
「いえ、アヴェル様に見回りでお怪我などさせられません。」
(…取り付く島もないやー…。)
名案だとばかりに発言した朝日の案は、早々に却下されてしまった。
仁王立に構えながら、警戒を絶やさぬよう周囲に目を配る赤髪に、これはもうなにを言っても無駄だと朝日はおもった。
「ねぇルギアさん、この国について教えてくれない?」
ならば会話は絶やさぬまいと朝日は寝転びながら問いかけた。
「この国は、寂しい国です。」
「寂しい国?」
低く平坦な声がそう発した。
言葉には何の感情も見えない。
「この世界に光が消えてからというもの、1番影響を受けたのはアヴェルを迎えるこの国でした。
光が消えてから200年。
この国の人口は半分まで減少しました。」
「はん、ぶん?」
平和な日本で暮らしてきた朝日には、人口の半分が消えるということはスケールが大きすぎて到底想像できるものではなかった。
しかし、この国の人口が、どれ程かは知らないが、それはとんでもない数であることは確かだった。
「流行り病、飢餓、慢性的な食料不足、各地で起こる内戦。
その他たくさんの理由で国民は命を落としていきました。」
横たわる朝日はうつらうつら、赤髪の彼の台詞を聞いていた。
ーーそして、ぷつんと意識が途絶えるその間に
「ーー全てを奪った貴様を、俺は絶対に許さない…っ」
感情を表さない赤髪の王の抑えきれぬ感情の波を感じた気がした。
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