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目が醒めると、そこは夜だった。
手をついて起き上がろうとすると、枯れ草が生えていることがわかった。
カサカサと音がする。
見上げれば、月が二つ見える。
ここは確実に知らない世界であるというのに、守山朝日は、冷静であった。
ただ困惑することもなく、違う世界にいることを受け入れていたのだ。
何故こんなにも冷静でいられるのかーー。
守山朝日は、死んだのだ。
前の世界で間違えなく死んだ。
急行の列車に跳ねられた。
誰かから後ろから力強く背中を押されたことを、朝日は覚えていた。
痛みは覚えていない。
ただ強い衝撃が自分を襲った。
「死んだんだ、よなーー。」
ここは天国からどこかだろうか。
あの時自分の背中を押したのは誰だったのか。
何故、ここにいるのか。
今となってはもう調べる術もない。
受け入れているが、朝日は静かに絶望していた。
「ーー晃さん…。」
呟いた声は、闇に溶けて消えた。
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