23、救イ

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熱い―… そう感じた時、 「……っ」 悠馬は後ろから私の身体を抱きしめた。 「ゆう……ま……?」 「……た」 「え?」 「良かった―…繭子さんが無事で」 耳元で囁かれる悠馬の声は、微かに震えてる。 顔を後ろに向けると、その瞳も潤んでいる様に見えた。 「泣いているの―…?」 「泣いているよ……」 「わたしの……せい?」 「ただ、心配だったんだ―…」 悠馬はよりその腕の力を強める。 弱く、出したままにしているシャワーが凭れ掛かる様に私を抱きしめる悠馬の髪を濡らしてる。 そこから滴るお湯が、ポタポタと私の肌にも当たっていく。 「怒っていないの―…?無防備な女だって……」 「まさか、何より繭子さんを襲ったヤツが許せない」 〝許せない” 悠馬の気持ちは嬉しくもあるけど、もし、あの覆面の人物が自分の生徒に関係しているんじゃないかと思うと喜べない。 だって、悠馬を想うがゆえに邪魔な私を排除したいという気持ちから、別の人物を使ってあんな行動に出たんじゃないかって考えると痛い。 心が痛いの。 深見さんの気持ちは私も理解出来る部分があるから。
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